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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


くすぐったさを感じて目を開ける。

『……っん、』

「…あ、起こしちゃった…ごめん」

目の前のアスランは私の短くなった髪を指でするすると梳いていた。

『ううん、…おはようアスラン』

「おはよう、ユウコ」

『…私、また発作起きちゃってた…?』

「っふふ…ううん、ぐっすりだよ!…ねぇユウコ、そんなに不安そうな顔をしないで?もし発作が起きちゃっても僕が絶対に助けてあげるから」

『…うん、ありがとう』


「そういえばユウコ、寝ながら笑ってたけどなんの夢を見てたの?」

『…え!はずかしい…』

「びっくりしたけど、かわいかったよ」

『……っ!』

私は赤くなる顔を隠すために、アスランの胸におでこをつけた。久しぶりにアスランからそんなことを言われた気がする。

『…あ、あのね…あの公園でアスランとブランコに乗って遊んでる夢を見たの』

「あのブランコ?懐かしいね!」

『うん、そのあと一緒にホットドッグも食べた!』

「へえ、そっか…いいなぁ。僕もユウコに会いたかった…」


『……?』


あれ…?
アスラン…今日、なんだかいつもと違う?

僅かな違和感に、私はアスランから少し体を離して目を見つめた。


「…っ、な…なに?」

『アスラン、なにかあった?』

「え?」

『…なんかへん』

「ぼ、ぼく……へん?」

『へんじゃないけど…なんか、へん?』

「…っ…ふふ、なにそれ」


私が頬に触れるとピクッと震えた。


『…アスラン』

「………」

『もし…アスランになにかあったら、私が絶対に助けてあげるから、大丈夫だよ!』

「……っ」

どうしてこんなことを言ったのか、自分でもよく分からなかった。さっきアスランが言ってくれた言葉を真似たような、心からそう思ったような…なんだか不思議な感覚だった。


突然、ギュッと抱き締められる。

「…あ、りがとう……でも、僕が…今度はちゃんと…キミを守りたい」

『…アスラン?』

「っあ……ごめん、やっぱり僕…へんかもね」

そう言って笑ったアスランの声は少し震えていた。


しばらくすると、ベルが鳴らされロックを解除する音が聞こえた。


ガチャ


「…おはよう、よく眠れたかね?」


部屋に入ってきたのはパパだった。

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