ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
「アッシュ、腕が辛くなったら言うと良い」
「…大丈夫だよ」
「ユウコを抱えて歩けるなんて、だいぶ力がついたじゃないか…さて、この部屋に専門医がいる」
コンコンコン
ガチャ
「ん…?こちらの女の子ですかな…?」
「ええ」
「なんてことだ…こんなに小さい子が…」
髪を撫でられ、思わずビクッとしてしまう。
アスランはそれに気付いて私のおでこにキスをしてくれた。
「あぁすまないね、驚かせてしまった…では早速診よう」
中に入り、私はベッドの上に降ろされる。アスランが離れるととてつもない不安に襲われる。
『…ァス…、』
「大丈夫…僕ここにいるからね?」
「こちらの子は?兄妹…ではないようだが」
「この2人は兄妹とも友達とも違う不思議な関係性なのですよ、お気になさらず」
「…ふむ、この動悸はなにか薬物によるものですかな?」
「相手の状態を見る限りだと使用した可能性はありますが、どの程度かまでは」
「…では、服を脱がせるよ」
『…っ…ぅ』
「……これは…っ」
「あやつめ…」
アスランは私を見ないように背を向けていた。
「こんな痕をつけるなんて…相手が13歳というのがにわかには信じ難い…」
「えぇ、誕生日を迎えて13歳になったばかりの子ですよ」
「……では性器を診せてもらおう、ゆっくりと後ろに体を倒してごらん…怖くないからね。少し触るよ」
『…っん、』
「…出血は見られるが…精液が流れ出た形跡はないな…それに乱暴されたような様子も……ん?」
「…なにか?」
「この子の最後の月経はいつ頃?」
「いえ、その子にはまだなかったはずですが」
「なるほど…。
…この出血は腟内部の裂傷による出血ではないようです」
「…と、言いますと?」
「レイプをされたのではなく、初潮を迎えたのですよ」
「…なんだって?それは確かですか?」
「あぁ、まず間違いないでしょう。レイプ被害者の性器は酷く腫れたり切れたりしていますからね…、初めての性交だったのであれば尚更」
「そう、でしたか…それは良かった…このタイミングとは驚いた…」
「パパ…?ユウコは大丈夫なの?」
「ああ、ユウコは大人のレディの仲間入りをしたそうだよ」
「…大人のレディ?」
「そうだ、詳しいことはあとで話そう」