ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
『…ッ…!?』
妊娠って…赤ちゃんができること、だよね?
クリスは何を言ってるの…?
「ダリウスとあのメスがセックスをして妊娠したから俺たちは離れ離れになった。…だから、ユウコが俺とセックスをして妊娠すれば、お前とアッシュはもう一緒にいられない…!」
『…ゃ…ッめ!!』
「あのメスが俺からダリウスを奪ったように、俺はお前からアッシュを奪ってやる…!」
クリスが私のシャツを力任せに引っ張ると、ボタンがブチブチと音を立てて飛んだ。
晒された私の体を見つめるクリス。
「…っ!………汚らわしい…メスめ」
『…っは、ぁ…』
「メスとなんか…したくない…ッけど、アッシュを取られないようにするにはそれしかない…」
『……ゃ、だ…!』
「うるさい…黙れ!」
クリスは私の心臓の辺りに吸い付いた。
『…ん、…やめ、て…っ!』
そのあと色々なところに唇を移動させて、何度も痕をつけられた。
『っう…ぅ…もう、やだ…っ!』
「…うるさいって言ってるだろ!!…っ……ねえ…お前これ、覚えてる?」
クリスはポケットから取り出した小瓶を私に見せた。
『……しら、ない』
「…お前がずっと飲まされてた薬だよ」
『……え…?』
「マークに調べさせたら保管場所がわかったんだ。それを盗んできてもらった。…かなり強力な薬なんだってね、ほんの少しでも効き目があるって」
そう話しながらクリスは蓋を開けた。
そして、蓋についたスポイトをつまむと上を向いて自分の口の中に垂らした。
『……っ…!?』
「…まず…っ…水に溶かして飲めばよかった…」
私はてっきり自分が飲まされるのかと思っていた。
「っはあ……ユウコ、…もう、会うのは最後かもしれないから正直に言うよ…俺、これからすることがパパにバレたら殺されるんだ…お前にこれを飲ませてたヤツらも全員殺されたって聞いたしね…だからこの薬で体がどうなってもいいんだよ」
あの男たち…殺されたの?
それより、クリスが殺されるって…
『……だ、め』
「ほんとうるさいな…っ」
クリスは荒々しくキスをした。
『………っん!』
「っはあ…メスとセックスなんて…絶対勃たない自信があるから、勃つまでフェラなんてさせてる時間もないし…っ…」
クリスはもう1度スポイトで薬を飲んだ。
「…これで、全部終わりだから…」