ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
『…っ!…』
苦しんでね
ニコッと笑ったその顔に、ゾッとした。
「ユウコ…前に留守番中に粗相したんだってね、パパから聞いたよ」
ソソウ…?
そういえばずっと前にパパの部屋でそんな会話を聞いた気がした。アスランがパパに少し怒っていたような…。
「え、なに?…もしかして覚えてないの?」
『ッ…ソソウって…な、に?』
「…嘘……っふ、」
クリスが吹き出すように笑った。
「粗相っていうのは、おもらしだよ」
『!?』
おも、らし…?
嘘…わたしが…っ?
「パパの部屋から一緒にここに戻ったら、ベッドがびしょびしょになってたんだって。その上で濡れて汚れたまま寝てるお前を見て、アッシュが慌ててシャワー室まで抱えて運んでたってさ…っふはは!そっかぁ、お前覚えてないんだ!」
『…っ……』
そんなことをしてしまっていたなんて知らなかった。アスランは私にずっと隠してたの…?ある時から出かける前にアスランがトイレの確認をしてくれるようになったけど、それがあったからなのかな。恥ずかしくてたまらない…
両手が解放されたかと思うとパキッという音がした。クリスがペットボトルの蓋を開けた音だった。
「…飲めよ」
『……えっ…』
「ほら…早く」
私は両手で口を覆って首を横に振った。
「…ったく仕方ないな」
クリスはそう言いながら水を口に含んだ。
そして私の首輪を直接掴んで乱暴に起こすと、顔を固定されて唇を重ねた。
『…んんん!!』
ギュッと力を入れて閉じていると鼻を摘まれる。
ただでさえ呼吸が荒かった私はあっという間に口を開けてしまった。
『…ふぁ……んぅっ…!』
口の中に水が流れ込んできて、飲み込まざるを得ない。
『…っん…っん…っはあ…っはぁ…』
「まだだよ」
クリスはそのあと同じことを4、5回繰り返した。
『…う…っ…』
「…っはは、えらいえらい」
また…漏らしてしまったらと思うと涙が止まらなかった。
「こんなんで泣くなよ。…次はどうしようかなあ?」
わざとらしく悩むふりをしたあと、私の口の中に指を入れてこう言った。
「あっそうだ………舐めてよ」