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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


どんな目で私を見ているのか、知るのが怖くてクリスの足元をずっと見ていた。

「…ここの部屋のロックナンバーを変更したのは誰の考え?アッシュの提案かな…それともジョセフ?あぁ、お前に聞いてもわかるわけないか」

『……』

「命令に対しては従順でいい子なのかもしれないけど、お前からは生き延びるための賢さなんてこれっぽっちも感じられないもんね」

そう言って歩き出したクリスは冷蔵庫を開けた。

「…あれからアッシュが部屋を出るとジョセフがずっと見張ってたの、お前は知ってた?」

私はコクンと頷く。

「アッシュは俺からお前を守ろうと色々考えてたのに、見張りに選んだ男があんな使えないヤツだったなんて予想外だろうね。結果こうやって俺とお前がふたりきりで部屋にいるなんて知ったら、アッシュはどんな顔するんだろう」

『………』

今日は…何もしてこないのかな。
再び私の目の前に戻ってきたクリスの足元を見ているとクリスはこう言った。

「…ユウコ。俺さっきお前には生き延びるための賢さがないって言ったでしょ?」

『……うん』


「仕方ないからひとつ教えてあげる」


視界にスッとクリスの手が現れて私の顎を掴みクイッと持ち上げた。



「…目を見ておかないと、逃げられないよ?」



突然グッと顔が近付いてきて噛み付くように唇を塞がれる。


『……ンン!!』

「……っ」

体を離そうと胸を押してもビクともしない。
舌がキツく閉じた唇の隙間を縫うように入り込んできて私の舌に絡まる。

『…やっ!…んン…は…ぁ』

「…ん…ッ」

どんどん深くなるキスに力が入らなくなって、気が付けばベッドに押し倒されていた。


…嫌で嫌でたまらないのに体が拒めない、私の全部が何故かクリスのキスを受け入れようとしている。

気持ちよくて、
どこか待ち望んでいたような…まるで、



「っは…、アッシュのキスみたいだと思った?」


『!…はっ…は…ぁ…ッ』

「…顔真っ赤でトロけた目してさ…いやらしいヤツ。いつもこんな顔してアッシュのこと見てたわけ?最悪」

『っな…んで…ク…リ、ス…』

「俺だって何度もアッシュとキスしてるんだから、癖くらい覚えてる。今のは普段のじゃなくて、お前の発作が起きた時にするって言ってたキスだけど」


『……っ…』


アスランのキスを真似て…?
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