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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》


「…まさか、本当に部屋に戻っているとはな…」

「ごめんなさい、ジョセフ」

「ユウコも一緒か…何があった?俺が迎えに行く前に部屋を出たことなど今までなかっただろう、それにロック番号はどうやって…」

「うん…まずはごめんなさい。勝手にクリスの部屋を出てきたことも、…部屋のロック番号を覚えてたことも」

「随分簡単に言ってくれるな…あれは毎回数字の位置がランダムに変わる、解除を盗み見したとしてもロック番号を正確に覚えられる子供なんて見た事がない。まったくお前の頭脳には驚かされる。…念の為番号は変更しておくぞ?」

「うん…本当にごめんなさい」

「それで、話とはなんだ?」


「あのね…ジョセフにお願いがあるんだ」

「お願い?」


「…ユウコとクリスをしばらく会わせないで欲しい」


「どういうことだ?」

「…実は、さっきクリスの部屋から逃げてきたんだ。クリスがユウコのリードを引っ張って首を絞めていて、僕が止めなかったら危ない状態だったかもしれなくて…」

「っ…クリスが…?」

「信じられない、よね…僕も最初は何かの冗談だと思った…だけど事実なんだ…。ほら見て、首輪の下…」

「…切れて血が出ているじゃないか……ん?これ…」

「…うん、それは多分…初めてユウコがクリスに会った日の傷…」

「なんだって?」

「ユウコは痒くて掻いただけだって言ってたけど…あの日も全く同じようになってたんだ…」

「…クリスがどうしてユウコに?」

「……っ」

「なにか心当たりがあるのか?」

「それは…わからない…だからジョセフ、お願い。僕が部屋を出ている時だけでいいから…この部屋を見ててもらえないかな?…部屋を出てくる直前のクリス、すごく怖かったんだ。なにかに取り憑かれているみたいに狂気的で…。上手く言えないんだけど、僕の嫌な予感ってその通りになることも多くて…っ…ジョセフお願いだよ…僕、これからもう何もわがまま言わないから…お願い…!」

「…わかった。お前がそこまで言うんだ、しばらくは言う通りにしよう。…それに、アッシュの我儘なんてもう二度と聞けないかもしれないしな」

「…ありがとう!あ…それと、ひとつ聞きたいことがあって…」

「なんだ?」

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