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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

閉めたドアに寄りかかる。
自分の心臓がバクバクと暴れていたことに気付く。

怖かった…最後に見たクリスはまるで別人のようで、脳裏に表情が焼き付いて離れない。


『…っ…げほ…』

「…あ、」

腕の中のユウコがもぞもぞと動き、苦しそうに眉を寄せている。

「ごめんね…もう少し我慢してね…」

震える足を踏み出して自分の部屋の前に戻ってきた。そして、肘でドアノブを下げる。


ガッ

「…っ!」

開かない

それもそうだ。ここではどの部屋にも当たり前のようにロックが掛かっている。そこで、いかに自分が冷静じゃなかったかを思い知らされた。
そもそもいつもは部屋にジョセフが迎えに来て、それから戻るからこんなのは初めてのことだ。

「……」

僕はユウコを抱えながらグッと電子キーに腕を伸ばす。

部屋のロック番号は…

「…0、9…2、1」

ピーと高い音がしてロックが開いた。
いつもジョセフが解除しているのを見ていてなんとなく覚えていた。

部屋に入り、ユウコをベッドにそっと寝かせる。


「……ごめんね、ユウコ…苦しかったよね…」


あのショッキングな映像が蘇る。
首を絞めるなんて…信じられない…。


「…あ、そうだ…ジョセフ……」

僕は電話でジョセフにコールした。


「…あ、ジョセフ?うん、僕なんだけど…ごめんなさい勝手に戻ってきちゃって…うん、自分で……あの、今から部屋に来てもらえないかな?話したいことがあって……うん、待ってるね…」




電話を離れてしばらくユウコを眺めていると、ロックが解除されてジョセフが部屋に入ってきた。
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