ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「…は?」
「こんなことをする人とユウコが一緒にいるなんて、僕耐えられないよ」
「な、なに…?こんなことをする人って…それ俺?ちょっと待ってよ、何を言ってるのアッシュ?ユウコは俺の…」
「ユウコがクリスの恋人だとしても!…一緒にいて欲しくない…っ!」
「…どの立場でそんなことを言うんだよアッシュ」
立場?
僕は…
「僕はユウコの……」
なんだ…?
ふさわしい言葉が何も浮かばない。
恋人ではないし…友達も幼なじみもしっくりこない。
もっと違う
もっともっと大切で、
もっともっともっと特別で…
「ほら…何も出てこない…」
「……っ」
ああ、だめだ
これじゃあ…あの時と同じ。
ーーー『じゃあ…私たちってなに?』
ーー「えっと…ユウコは友達じゃなくて…」
ーーー『私は…ただのペット…?』
あの時のこと、僕はとても後悔していたんじゃないか。
けど…あれからその答えはまだ見つかっていない。
僕とユウコがどういう関係なのか…もしかしたら、そんなの一生かかったってわからないのかもしれない。
でも、いい。僕が“あの時”を後悔しているのはそれを答えられなかったからじゃない。
ーー「僕たちの関係はわからなくても、僕はキミを特別に思っているよ」
そう伝えられなかったからだ。
「…結局、アッシュとユウコはなんでもない。そういうことなんでしょ」
「…っ、違う!」
もう同じような後悔はしたくない。