ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第5章 人は空を飛べるか
『…っ!?!』
私は顔を真っ赤にしてエイジを見る。
「(あっ!本当に日本語分かるんだ!)」
「えっ?なになに!?エーチャン何言ったの!?」
『えっ!?あ…と、突然バストのサイズを聞かれて』
「はぁ!?エーチャン変態だな〜!!」
「ち、違うよ!!変な事言うなよ!」
『先に変な事言ったのはそっちじゃない!』
「……(違うの?)」
とても優しい顔で頬杖をつきながらエイジが言う。
『(……優しい、ところ)』
「(そっか、……っく、あっはは!)」
『(…っ!ひっどい!!笑うなんて!!)』
「(ごめんごめん!…あいつ僕には優しくなんてしてくれなかったからつい……あっ)」
エイジはゲラゲラと笑っていたかと思うと、突然思い詰めたような顔をして頭を抱えた。
「エーチャン?」
「アッシュが僕に優しくしてくれなかったなんて冗談でも絶対に言っちゃいけないことだ…彼はさっき僕なんかのために銃を手放して殴られていたのに…」
『僕なんか、だなんて言わないで…。
…ほらね?アッシュは優しい人でしょ?』
そう言って下を向くエイジの頭をそっと撫でる。
「あぁ、とても。…キミもね」
その時だった。
ガタン!!
扉の開く音がしたかと思うと、傷だらけのアッシュが中へ放り投げられた。
「アッシュ!!」
「しっかりしろ、大丈夫か!?」
「いててて…さ、さわるなよ、いてぇよ…ちっくしょう、めいっぱいハデにやってくれやがって…」
アッシュはふと私を見ると、目を細めた。
「……無事かよ?」
こくん、と頷くと私はアッシュの目の前に座る。