ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第5章 人は空を飛べるか
「オーサー!!いるんだろう、出てこい!!」
「ふっ、王子様のお出ましか。」
そう言ってオーサーがニヤリと私を見て離れていく。
少しの時間の後、オーサーの「やあ…ボス」という声が聞こえた。
「アッシュだ…ユウコ、アッシュが」
スキップが私を見る。
ガラガラガラ…
シャッターが開く。
「良かったなあ」
マービンは私の黒髪をするりと撫でてシャッターの外へ出る。外に目線を移すと、その様子を見てたアッシュが人をも殺すような視線を向けている
「アッシュ!」
スキップが叫ぶ
「…ようこそ、山猫の王子様。悪いな、わざわざこんなところまで来てもらって。」
「…そういうわけか…おまえも堕ちたなオーサー。」
「おまえのやり方は手ぬるいのさ。これからはでっかい後ろだてが必要だ…何をするにもな」
「そうして組織の犬になるわけか。お似合いだぜ。」
「銃を投げてよこしな。」
「だめだアッシュ!殺されるよ!」
「そいつらを放せよ」
「アッシュ、このチャイニーズはなんだ?スキップとユウコがやたらかばってたそうだな…おまえの新しい友だちか?」
「…痛っ!」
「こらあ!エーチャンに手ェ出すなっ!」
男がエイジを乱暴に掴む。
アッシュが一瞬ハッとしたような顔をした。
「殺せ!」
「待てよ!…ったく、やなヤツだなあ、お前」
ゴトッ
アッシュは目の前に銃を投げ捨てる。
「さっすが人望の厚いボスだなあ!指のお礼はたっぷりさせてもらうぜ!」
そういうとオーサーはアッシュを殴った。
『…アッシュ!』
「おまえたちはこっちにきてろ」
男たちに連れられ、倉庫の一室に投げ込まれた。
「…痛ってぇ、おいエーチャン大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だよ…後ろに縛られるってこんなに痛いものなんだね…」
ガシャンッ!
バリンッ!!
「…ユウコ!?」
酒の瓶が入った木の箱を蹴り飛ばし、その勢いで瓶を割るとエイジが驚いた顔をして私を見た。
私は後ろ手に縛られた自分の縄をその破片で切った…が自分の腕まで少し切ってしまった。動揺してたんだと思う、きっと…悪魔のようにニヤリと笑うマービンを見て。
『……ん゛っ!!』
「キミ…だ、大丈夫!?」
『平気…舐めときゃ治るから。それより背中を向けて』
「サンキュー、ユウコ!」