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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第4章 遠い生まれ故郷より訪問者


《アッシュside》

エーチャン、と呼ばれる子どものように見える男が、指示に従ってバタバタと走る。

「ジャパンじゃ子どもをアシスタントに使うのかい?」
「オレはあんたより年上だよ!」
「へえ…そりゃ失礼…子どもかと思ったもんで」

悪いが、どう見ても子どもにしか見えない目の前のこの男は俺よりも年上だった。しかもこの腹の立て方を見ると、この地にきて何度も同じ思いをしてるらしかった。
俺のいちばん近くにいる日本人はこの前スーパーのレジで、お嬢ちゃんこれあげるとお菓子をもらって大層喜んでいたもんだが…



シャッター音が落ち着いた頃、その男が俺の腰を指して、その銃はホンモノかと聞いてきた。

どういう意味だ…?
ガキがこんなものを持って、と仕返しに煽られたのかとも思ったが見たところそんなことを言うやつではなさそうだ。すると、好奇心に溢れた目で「ちょっと持たせてくれないかな?」なんて言ってくる。周りの空気も感じたが、こんな場所で、しかも目の前で堂々とそんなことを言ってくるヤツが面白いと思った。

手渡すと、初めての銃を両手のひらで持ち嬉しそうに眺めてこちらに返す。やっぱり子どもじゃないか。銃なんて持たないでいいならその方がいいに決まってる。

気が付くと隣にユウコがいた。周りが驚きやら心配でざわついていた中、まるで俺の心の中が読めているような顔をして俺を見る。

そしてこの男は、俺たちを交互に見やると

「人を…殺したことある?」

と聞いた。

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