ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第4章 遠い生まれ故郷より訪問者
周りはすぐに先程の喧騒を取り戻した、するとそれに負けないくらい私の心臓がバクバクと音を立てて騒がしい。
「あっ、やっぱり?すごい!お似合いだよ!」
エイジもウィンクしたのを見ていたのだろう。パチパチと拍手をしながら目を輝かせる。
『ち、違うよ!今のは私をからかっただけで…』
「エーチャン、そもそも結婚は18歳からだろ?2人はまだ17歳だぜ?結婚するなら来年まで待たないと」
『いや、だから私たちはそういう関係じゃないんだってば…』
そう否定する私の言葉なんてお構い無しにエイジは続ける
「あ、そっか。へぇ〜、山猫の番。アッシュ・リンクスにユウコ・リンクスか…なんかかっこいいや。彼は、銃の腕前すごいんだって?」
「チャーリーから聞いたのかい?そうだよ、ありゃあすごいよ、彼女もね。」
「えっ」
私はエイジから目をそらす。
「S&Wの357マグナム、銃身を短く切ってあって25ヤード先の的を外したことないんだから!」
「君も?」
『え〜と、どうかな?』
「なんだよ、ユウコ!オレが君程の腕前なら皆に自慢してまわるのに」
「英ちゃん」
私たちのテーブルに現れたのはイベさんだった。
「(あ、話色々きけたんですか?)」
「(いやぁ、なかなか…口が固くてね)」
「ユウコ、これ何語?」
『日本語』
「え、わかる?」
『…さっぱり!』
「(なかなか自分のことは話してくれないよ。あの年齢でマグナムを片時も離さずしかも不良少年のボスで…そうなるまでいろいろなかったはずはないんだけどね…。それと、英ちゃんの目の前の彼女のことを聞こうとすると物凄い目付きになって睨まれるんだ。2人はどこで知り合ったのか、どうしてつるんでるのか、イイ関係なのか〜とかね、本当は聞きたいこと色々あったんだけどさ)」
エイジは私の話が出た時、わざとらしく顔を背けた。まさか私が会話の内容を全部理解してるなんて微塵も思っていない。頭にずっとハテナが浮かんでいるスキップが可哀想になって、
『イベさん、何の話?』
「あ、いや、今晩は何を食べようかってね」
『そう、せっかくだから美味しいものを食べて欲しいな…例えば、』
その時だった。
ドン!!!
勢いよくドアが開いて外からバッドや棒を武器に持った男たちがたくさん入ってきた。