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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第4章 遠い生まれ故郷より訪問者



スキップはアッシュに彼らのことを説明しているようだった。2人と挨拶を済ませると、アッシュが私の近くにやってくる。それを感じた隣の席にいた男は立ち上がって違う席に座り直した。

アッシュを追いかけるようにやってきた2人は、私を見て驚いたような顔をしてヒソヒソと日本語で話す。日本人の男の子って久しぶりに見た気がする。何歳だろう?随分若く見えるけど、私と同じくらいかな?

「(伊部さん、この子…)」
「(ああ、さっきチャーリーが話してた山猫のユウコだろ?)」
「(見た目は日本人なのに英語でだなんて不思議な感じ)」


…全部聞こえてるんだけど。きっと私に日本語が通じないと思ってるんだろう。それもそのはず私が日本語も喋れると知ってるのはアッシュだけだ。元々日本で生まれ過ごしていたという過去を知っているのはアッシュだけ。


「(え、えと)…Hi!マイネームイズ…シュンイチ・イベ」

『ユウコ・リンクスです、宜しくイベさん』

「(綺麗な発音!やっぱり日本語は通じなさそうだ)」

『えっと…なんて?』

わざと日本語が聞き取れない振りをする。アッシュは隣でフッと笑った。

「エイジ・オクムラです。宜しく。」

『宜しくね』

「僕は(え〜っと)日本のカメラマンで、雑誌社からの仕事で色々…君達のことを(あの〜)聞きたいんだけど」

たまに日本語を交えながら話すイベさんが面白くて、クスっと笑いながら聞いていた。隣のアッシュはいつものボスの顔に戻っていて、無愛想な顔を向けている。

「で、何を聞きたいんだ?」

「あ、その前に写真を撮ってもいいかな?」

「ああ…、ユウコお前はスキップの所に行け」

『うん』

「彼女も写真に入って欲しいんだけど…」

「あいつをそのカメラに写すっていうなら、あんたからいくら貰えばいいかな」

「あっ、あぁ、いや、悪かったね」


イベさんは慌てた顔をしていた。もう、英語の慣れていない日本人には冗談なんて通じないんだから。ほら、イベさん萎縮しちゃってる。


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