ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第13章 地獄の中へ
《アスランside》
見慣れた景色を通り過ぎ、随分遠くまできた。
先程見せられた写真は、この男が撮ったものなのか?
それとも他にも仲間がいて今もユウコの近くから写真を送っているのか?
拘束して目隠しなんて、ユウコはパニックになっているはず…。
許せない、あんな酷いことをするなんて…。
震える足を抑えるようにグッと手を握ってミラーに映る男を睨む。
「おいおい、そんなに威嚇するなよ。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?アスラン。」
「アッシュ、だよ…。」
こんなヤツにアスランだなんて呼ばれたくない。
「ほう?じゃあ俺のことはマービンって呼んでくれ。」
車は建物の駐車場に入った。
肩をガッチリ抱えられ車を降りる。
ここにユウコが…。
無機質な建物の中に入ると、ドアが並んでいた。その中に鍵が外から二重に掛かる不自然な扉を見つける。
僕がその部屋に目をやると、
「よくわかったな、ここだよ。…さてアッシュ、お前がユウコを守りたいなら、ここから先お前に“No”は許されない。全て“Yes”だ、いいな?」
「………“Yes”」
そう言うと、マービンはカチャカチャ…と二重の鍵を開けドアを開ける。
「…は…っ……ユウコ…」
先程見せられた写真と同じ状態のユウコがそこにいた。実際に目の前で見るとかなり衝撃的な光景で足が動かなくなってしまう。
中にはユウコだけ。
仲間はいないようだった。
ドン、と背中を押され床に膝をつく。
「…った」
ベッドの上の彼女を見るがピクリともしない。
「……ユウコ?」
「気でも失ってんのか?…おい、起きろっ!」
グイッ
ユウコの腕を拘束する布を乱暴に引っ張る。
『っ……んんー!』
「起きたか?…ヒーローの登場だぜ?」
そう言って僕の腕を掴みベッドの上に放り投げた。
「うわっ!」
『…んっ!!』
ユウコの体の上に背中がぶつかる。
「ごめっ………ユウコ、僕だよ」
頬に触れる
『…んん、っ…ぅ』
「大丈夫、泣かないで…僕が守ってあげるから。」
「…ハハ、こりゃ最高だな……大ウケ間違いなしだ。」
マービンはふざけた笑みを浮かべながらビデオカメラを向けていた。