ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第13章 地獄の中へ
《アスランside》
「…んっ……」
「お、起きたか?おはよ。」
パチッと目を開けると、そこはベッドの上だった。
久しぶりに熟睡した気がする。
「…うー、ん…おはよう、ヒューゴ。」
「なんだ、まだ寝ぼけてんのか?」
「こんなによく寝たの久しぶりだよ、ふかふかのベッドも。」
「あんな硬い地面じゃ休めねえだろうし、お前昼も仕事してんだろ?この1ヶ月よく頑張ったな!」
「うん、ありがとう。…僕だけベッドで寝るなんて、ユウコに申し訳ないなあ…」
「お前はほんっとにユウコが好きなんだな!」
「………からかわないでよ。」
ははは、と笑って僕をからかうヒューゴに思わずムッとしてしまう。
「別にからかっちゃいねえよ、事実だろ。いい女だもんなァ、ユウコ!」
「ヒューゴ、あれ冗談だったんじゃないの?」
「ああ?あれ聞こえてたのか!?お前地獄耳かよ!…まあ、あいつがあと10歳上だったら分からなかったかもな。」
「うわ、オジサン気持ち悪い。」
「だからオジサンって言うなよ〜、気持ち悪いとか普通に傷付くわ!…そんなに好きなら告白でもして自分だけのものにしちまえばいいだろ?」
「…ユウコは僕のこと、ただの幼なじみだって思ってるんだ。告白なんてしたら一緒にいられなくなっちゃうかもしれないじゃないか。」
「は?お前それマジで言ってんのか!?………賢いわりにとんでもねえニブチンだな…」
「え、なに?」
「いやなんでもねえよ…でも、気持ちは伝えるつもりだったんじゃねえの?」
「なんで?」
「だって、あんなプレゼント渡したら好きだって言ってるようなもんじゃん。」
「そうなのかな?…僕はただユウコに似合うと思ったから。」
「お前可愛いなァ〜!!こっそりプレゼントを買うために夜中働くなんて健気すぎて泣けるぜ。お礼のつもりで金弾んだのにその分きっちり働きやがるし…。」
僕が夜中に内緒で仕事をしていたのはユウコに誕生日プレゼントを買うためだった。
そして、今日はユウコの誕生日。
9歳の誕生日は祝ってあげられなかったから、10歳の誕生日はしっかりお祝いしてあげたかった。
カラダでなんかじゃなく、しっかり働いて稼いだお金で。