ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第12章 遥かなる旅路
そのとき、突然アスランが私の名前を叫ぶ声が聞こえた。
ハンナも私もビクッとして角からアスランを覗く。
辺りをキョロキョロと忙しなく見渡し今にも走り出しそうだった。
「…行けば?」
ハンナは腕を組んで目を合わせずに言った。
『アスラン…』
言い終わりを聞く前に私は角を飛び出していた。
『アスラン!こっち!』
「…あ、ユウコッ!」
アスランは勢いよく駆けてくると私をきつく抱き締めた。
「ユウコ無事で良かった…、目が覚めたらユウコがいなくてすごく怖かったよ…。」
『ごめんね…』
アスランの腕の力が少し緩んだのでちらっと先程までいた角を見ると、彼女は背を向けて走っていった。
「あぁ…今わかったよ。ユウコがどんな気持ちだったか…、目が覚めた時に隣にいないっていうのはこんなに不安なことだったんだね…ごめん。」
『ううん、私こそ。これからは傍にいる。』
「っ…僕もだよ。…水場に行こうか。」
私たちは、顔を洗いごはんを食べて靴磨きに向かった。