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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第12章 遥かなる旅路


その後私たちはごはんを食べて、水道のあるところへ行きそれぞれタオルを濡らす。
少し離れたところで体を拭くと、また合流する。

今日も午前3時に起きて仕事に向かうアスランに、早く寝ようと提案した。


いつも通り新聞を敷き並んで横になる。

『アスラン、私もっと早く気付いてたら良かったのに…』

「やだなあ、気付かれないようにしてたのは僕なんだから!」

アスランは来週話すと言ってくれた。
…一体なんなのだろう?
ヒューゴの感じからして悪い話ではないのだろうけどやはり気になる。


『来週、なんだよね?』

「えっ!?」

『えっ?話してくれるって言ってた話…。』

「あ、あぁ!うん、そう!来週必ず!」

『…そっかあ、なんだろう…?』

「…ふふ、そんな不安な顔しないでよ。」

『だって…』

「僕は楽しみだよ。」

『え?なんで?』

「…それは内緒!」


アスランが楽しみ?
不安な顔をしないで、と言われてもやはり不安は大きい。
私が複雑な顔をしていると、首筋を撫でられる。


『…ん?』

「…いや、なんでもないよ。おやすみ、ユウコ。」

『おやすみ、アスラン。』



その日は以前よりも近くで眠った。
何故かとても甘えたくて、アスランの胸に擦り寄る…まるで猫にでもなったようだった。

こんな気持ちは今までに感じたことがない。

…また、キスをしたからだろうか。


それとも本当の私はずっと彼にこうしたかったのか。

少し前までの私ならきっとドキドキして眠れなかったはずなのに、今…彼の傍はすごく落ち着けてすぐに眠りについてしまった。











ーーふとあたたかさを額に感じ、目を開ける。

アスランが眠る私を見下ろしていた。

「…ユウコ、起こしてごめんね?行ってくるから。」

『ア、スラン…ん……行ってらっしゃい…』

「うん、…あぁ……ごめん、足りない…」


そう言ってアスランは私の頬に口付けた。


「すぐに帰ってくるから…」


頬をひと撫でしてアスランは立ち上がり走って行った。

彼が夜中に仕事に出てから1ヶ月も経つなんて…
私が隣に眠るなかで静かに出ていったんだろう。

思い返すと、夢の中でアスランが私の頬を撫でて優しい声で何かを言うシーンをよく見た。


『早く、帰ってきて…』


私はそう呟いてまた眠りについた。
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