ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第12章 遥かなる旅路
「んっ!?んん~!!…っぶは、なにすんだおまえ!」
「そっちこそ!ユウコになにしてんだよ!!」
「必死に走るおまえの姿が見えたから、からかってやろーと思ってな。」
「…ヒューゴなら、本気でやりかねないだろ…。」
ヒューゴとキスをしたのはアスランだった。
荒い呼吸を繰り返し、私を見下ろす。
『えっ?…アスラン?』
「…デートの相手ってヒューゴなわけ?」
『あ、えっと…』
「ユウコはこんなオジサンが好みなんだ?」
「おい!オジサンって失礼だろ!まだギリギリお兄さんだっつの!…っておまえ、なにもキスするこたァねえじゃん…久しぶりのキスが男ってよ…それに、おまえだって嫌だろ!」
ヒューゴはハァ…と頭を抱えた。
「いいんだよ、キスなんか減るもんじゃないし。」
「じゃあユウコ、俺とキスしよーぜ?」
「…もう一度したいの?」
アスランはヒューゴの頬をまた両手で挟んだ。
「おまえら…本当にさっきまでゴタゴタしてたわけ?なんだよこれ…俺とんだ噛ませ犬じゃねえか。」
ふたりは久々に会ったはずなのにとても距離感が近いというか、不思議な感じだった。
『…ハンナは?』
「ハンナ?…あ!忘れてた!腕を離してくれないからどっかに突き飛ばしてきちゃった…どうしよう。」
「っぶはは…!まじかよおまえ!」
『…夜中どこに行ってたの?』
「えっ………あ、嘘……気付いてた?」
アスランは明らかに動揺した。
『ハンナと…デートしてたの?』
「違うよ!!」
『じゃあなに?』
…アスランはヒューゴをチラッと見た。
「話してやれよ…」
「実は…、ヒューゴのところで積荷の手伝いさせてもらってたんだ。」