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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第12章 遥かなる旅路


「おまえ!やっぱりユウコだろ!いや、ひっさしぶりだなァ!元気にしてたか?まあ、あんだけ走って突進してくるやつは元気なんだろうけど。……て、あれ…何泣いてんだよ?」

私は色んな感情が込み上げて声を上げて泣いた。

「だぁあ!…俺が泣かしたみたいになっちまってるじゃねえか!…とりあえず、こっちこい!」


連れてこられた場所は、商店街にあるベンチだった。
ヒューゴの買ってきてくれた缶ジュースを受け取る。


「落ち着いたか?」

『ありがとう…ヒューゴ。』

「もうあれから2年近く経つのか…大きくなったな。」

『そうかな…自分じゃわからないや、あ!でもね、アスランは身長が伸びて……っ』

ヒューゴがチラッと私を見る。


「…あいつとなんかあったのか?」


私は、アスランが1ヶ月程夜中に抜け出して女の子と会っていたこと、先程までのことを全て話した。



「あ~…夜中に女とこっそりデートなんて、あいつもオトコになったな~…ってのは冗談で。理由は聞いたのか?」

『理由?』

「夜中に黙って抜け出すなんて、なんか理由があんだろ。」

『ハンナと…会うためじゃないの?』

「あいつが本当にハンナ…って女と一緒にいてえなら、別に夜じゃなくたっていい。おまえを捨ててその女と暮らせばいい、そうだろ?」

『……捨て…る』

「ばかばか!これは仮定の話だよ!!朝になったらちゃんとアスランはユウコのところに帰ってくる。…ってことは夜中に出なきゃいけねえ、なんかしらの理由があんだろ?」

『…そうかな。』

「ちゃんと話してみな。その前から勝手に落ち込むなんて時間と感情の無駄だぜ?」

『う、うん!』

「あ。………おまえ、すっかりイイオンナになったな。」

『へっ!?』

「それにこの東洋の黒髪、セクシーで俺は好きだぜ?…ユウコ、すげえ綺麗になったよ。」

ヒューゴは私の髪を色気たっぷりに耳にかけ、頬に手を滑らせた。

『……ヒュ、ヒューゴ?』

「恋のお相手、俺にしたらァ?」


ヒューゴはゆっくり顔を近付けてくる。


その時、通りの向こう側から誰かが全速力でこちらに走って来るのを感じた。

至近距離で私を見つめるヒューゴの両目はチラとそちらに動いた。


勢いよく走り込んできたその人は私に近づくヒューゴの両頬を掴みグイッと向きを変えてキスをした。
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