ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第12章 遥かなる旅路
「ユウコ怒鳴ってどうしたの?2人が遅いから迎えに来ちゃった!」
ハンナがわざとらしい笑みを浮かべてやってきた。
「あ、ハンナ。ごめんよ、やっぱり今日僕たち…」
『アスランは行くって。私は今日は疲れちゃったからやめとく…トランプ苦手だし。』
「ユウコ、だから僕も行かないってば!」
「え~、なに?喧嘩?珍しい!」
「ううん、喧嘩なんて別にしてないよ。」
「ユウコは疲れてるみたいだから、アッシュ行こうよ!私アッシュと一緒にいたい!」
ハンナはアスランの腕に自分の腕を回した。
目の前の光景はまるで夢を見ているみたいに歪んでいた。
…2人はお似合いだった。
キラキラとした明るい金色の髪に鮮やかな美しい色の瞳。
私は…?
カラスのような色の髪に深い闇色の瞳。
頭をハンマーで殴られたようだった。
『………うそつき。』
「…え?」
『傍になんて、いてくれないくせに!…もう、ずっとふたりでデートしてきたらいいよ!私もそうするから!』
「ユウコッ!まって!」
私はその場から走り出した。
細い道を何度も抜けて、振り返ることなく走り続けた。
伸びた髪は、1歩を踏み出す度に左右に揺れていちいち視界に入る。
なんで私の髪はこんな色なの?
…初めてケープコッドにきた頃に感じた思いが蘇ってくる。
髪だけじゃない、目の色も、それにアスランにあんな態度をとってしまう自分がなによりも大嫌いだ!
いくつ目かの曲がり角。
突然体にドンッという衝撃を感じた。
「うおっ!?!」
『ぎゃっ!!』
倒れそうになる体を支えられる。
「おい!大丈夫か!?ったく危ねーな!!まあ、俺も前見てなかったから悪いけど………あ?」
『………え、』
私が勢いよくぶつかったのは
『…ヒューゴ?』
以前親切にしてくれた彼だった。