ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第12章 遥かなる旅路
『とりあえず、おなかすいたな…』
昨日の昼から何も食べていないことを思い出した。
「そうだね、なにか買いに行こう!」
アスランは私の手を握って立ち上がった。
少し商店街を歩いていると、フワッといい匂いがした。
吸い込まれるようにある店の前に行くと、そこはホットドッグ屋だった。
「ホット、ドッグ?…犬?」
『えっ!?犬の肉なの!?犬ってこんなに美味しそうなの?!』
初めて見るワードに店の前で戸惑っていると、ガラッと店の透明の窓が開く。
店員の男がカウンター越しに私たちを見下ろす。
「なんだ、おまえら。ホットドッグを知らねえのか?」
『犬…なんでしょ?』
「ガッハハハハ!!犬だってよォ!こりゃ傑作だ!!…ホットドッグっつーのはな、ソーセージをこのパンに挟んでザワークラウトをトッピングして、ケチャップとマスタードをかけてかぶりつく食い物だよ!」
説明しながら盛り付けて、ホットドッグを完成させた。
『お、美味しそう……』
「うん!…2ドル50セントか…2つで…」
アスランがお金を用意しようとすると、
「おいおい、俺がおまえらにコイツを売るって?ジョーダンじゃねえ!!」
その男は大振りな仕草でそう言った。