ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第12章 遥かなる旅路
頬に何かが触れて目を開ける。
そこには微笑みながら私の頬を撫でるアスランがいた。
『…っわ!!ごめん!!』
「なんでユウコが謝るのさ!」
『私下向いて寝て…ヨダレとか垂れてなかった!?あと寝ないでアスランを見ていようと思ったのにすっかり私まで寝ちゃってそれから…』
「…ユウコ、ありがとう。」
『え?』
「ここまで連れてきてくれたんでしょ?…僕、公園を出てからの記憶全くないんだ。」
『アスラン、歩きながら寝ちゃったんだよ!びっくりしちゃった!…でも、こっちこそありがとうだよ。』
「なんで?」
『もしかしたら…なんだけど、一昨日の夜…寝ないで私のこと守ってくれていたんだよね?だから私が起きた時に目が合って…しかもその…ギュッて……』
「言ったでしょ?何があっても僕が守ってあげるって。」
私は顔がブワッと真っ赤になる。
『…っ!なにそれ…知らない…初めて聞いた。』
「ああ、あの時ユウコもう寝ちゃってたのか……あ、顔真っ赤だね。」
もう一度アスランが私の頬に手を伸ばした
『~~っ!!』
私は彼の肩を持ち上げ体を起こさせた。
「あと、ギュッてしたのは別に外にあいつらがいたからじゃないよ?」
『どういう意味?』
「だからそれはいつものこ……っ…」
アスランは急に顔を真っ赤にさせた。
自分の発言に今気付いたようだった。
そこまで言われれば言葉の続きはなんとなくわかってしまって、私は顔を背けた。
『……アスランいつも恥ずかしいこと平気で言うくせに…なんで急に照れるの…?』
「え!?…僕いつもそうだった?」
『うん…昔からわりと…』
「…そ、そうかな?…嫌なら気をつける!」
『嫌じゃないよ!嫌じゃないけど……』
「けど?」
『その、…いつものままで、いいよ』
「…ぶっ…あははは!」
『なに!?』
「ごめん…!家も、ごはんもなくなっちゃったのに、やっぱりユウコといるとそんなことどうでもいいくらいに楽しくて…!」
あはは、とお腹を抱えて笑っているアスランを見て、私も『たしかに』と一緒に笑った。
「…っふぅ…さて、どうしよう?」
一通り笑い終えたアスランは目尻の涙を拭いながらそう言った。