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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第12章 遥かなる旅路



「『?』」

「…よく覚えておけよ?」

『なに?』

「あまり他人を信用しすぎない方がいい。それにさっきも言ったが…お前らは見てくれが良すぎる。」

「……え、そう?」

「どう見てもそうなんだよ!いいか?世の中には俺みたいにただロックランドまで本当に送り届けてくれるヤツばかりじゃない。悪いことを考えてる大人もたくさんいる。」



「『…………』」


私たちはたぶん同時に同じ出来事が頭をよぎった。


「くれぐれも気をつけろよ。…あぁ、脅したみたいになって悪かった……着いたら起こしてやるから、少し寝とけ。…おやすみ。」


「うん、ヒューゴありがとう。」

『…ヒューゴ、おやすみ。』

「ああ。」






私たちが次に目を覚ますと、そこは本当にロックランドだった。


「おはよう。さあ、着いたぞ。ここがロックランドだ。」

「…ん…おはよう。ユウコ?起きて?」

『うんん…ふぁあ…おはよ。』


「腹減ったろ?もうすっかり昼だ。飯奢るよ。」

「えっ、そんな」

「あ?良いって。……あ!もしかして大人を信用するなって言ったからか!?」

「ち、違うよ!ヒューゴはここまでちゃんと送ってくれたじゃないか!…そこまでお世話になっていいのかなって。」

「ガキがそんな心配すんなよ!…長距離ドライバーは手当がついてそこそこの給料がもらえる。ただしその金を使う時間はない。……アスラン、わかるな?」

「…おねがいします。」

「ふん、それでよろしい。」




私たちはレストランで食事をご馳走になった。

ヒューゴとはここで、ということになった。

「ヒューゴ、ここまで送ってもらってご飯まで…本当にありがとう。」

『ヒューゴとたくさんお話ができて楽しかったよ!』

「いやいや、気にすんなよ。俺も誰か乗せて運転するなんて久々ですげー楽しかった。」

「せめて少しだけでもお金を…」

アスランがリュックサックをゴソゴソとすると、




「いいから!…その代わり、いつか俺に酒奢ってくれよ。礼はその時でいい。だから、ちゃんと大人になってくれよ?じゃあな、アスラン、ユウコ。」




ヒューゴのその言葉は、死ぬなよと聞こえた。

私たちはありがとう!と言ってヒューゴの後ろ姿を見送った。

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