ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第12章 遥かなる旅路
「ニューヨーク…なの?」
「あぁ。そうだ。なんだよ、ミドルタウンが良かったか?」
『私たち、行き先何も決めないで出てきて…とにかく朝までに遠くに行きたいなってこれに乗ったの。』
「そうか…、何も決めずに出てくるなんてすげーじゃん。……よし!そしたらニューヨークまで乗せてってやるよ!なんかよくわかんねーけど俺そういうの好きだし、お前らのこと応援してやりたい!」
「あ、ありがとう!」
『ありがとう!』
「決まれば出発すっぞ。追っ手がきたらマズイんだろ?さすがに荷台は尻痛てーだろうし前乗れよ。ベンチシートだから並んで乗れるぜ。」
私たちは前の座席に座らせてもらった。
時間は午前6時40分だった。
「これから行くのはニューヨークのロックランドってとこで、まあ田舎だ。あと5時間くらいの旅になるぜ。あ、そういや、お前らの名前聞いてなかったな。」
「僕はアスランでこっちはユウコだよ。」
『お兄ちゃんは?』
「アスランにユウコな。俺はヒューゴって呼んでくれ。ちなみに年齢は28歳。」
『ヒューゴはどこに住んでるの?』
「俺は今から行くニューヨークのロックランドに住んでる。ケープコッドの端に配達行って、そこからの依頼でまた積んで戻ってるわけよ。」
「へぇ、遠いところまで行くんだ!」
「ああ、俺は基本長距離専門だからな。若いとそっちに駆り出されるんだ。ま、若いっつってもアレだけどな…、腰も痛てーよ。」
そう言ってヒューゴは笑った。
「で、お前らはとりあえずロックランドまで連れていくが…そこからどうするんだ?」
『うん…どうしよう、アスラン。』
「どんな土地かわからないしなあ…とりあえず今日着いたら色々回ってみよう!」
「本当はうちに置いてやれたら良いんだけど…俺会社寮だからな…悪い。」
「そんな…!僕たち歩いてたら今頃捕まってたかもしれないんだ。ロックランドまで乗せてもらえるなんてそれだけで嬉しいよ!」
『ヒューゴ、優しいんだね。』
「…お前らさ。」
ヒューゴは突然とても真面目な顔をした。