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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第12章 遥かなる旅路



バッ


ブランコのロープにかかるアスランの手に触れた。

アスランはビクッとかなり大きく肩を揺らして勢いよく私の手を払った。

そして私の顔を見ると、目をゆっくり大きく見開いて

「ユウコ!?なにしてるの!?」

と大きな声を出した。
私はアスランの口を両手で塞ぐ。

近所の公園だ、家まで聞こえる心配はないけど咄嗟にそうしてしまった。

「…むぐ…ンン……」

『あっ、ごめんね!』

両手をパッと放す。

「ユウコ…?本当にユウコなんだよね…?」

目をゴシゴシと擦りながらまじまじと私を見てくる。

『うん、ユウコだよ。アスラン…あいたかった。』

「僕だってあいたかったよ、あれから毎日ここでまってたのに…ユウコは来てくれなかった。」


ムスッとした顔でそう言うアスランに、私は両親に止められてたとは言えなかった。


『…ごめんなさい、でも本当にずっと会いたかったの。』

「うん…じゃあ許してあげる!」

『ねえ、アスラン、こんな時間になにしてたの?』


「…僕は、ユウコをまってたんだ。」


『えっ?!こんな時間に!?くるわけないじゃない!』

「きたじゃないか。」

『あ…うん、そう、だけど…そうなんだけど…』

「ユウコはなぜここにきたの?パパとママが心配するよ?」

『…もうパパとママじゃないの。私ね、ここを出てどこか遠くに行くんだ。』

「ユウコ、お引越しするの?」

『ちがう!私、あの家を捨てたの!…だから、ひとりでどこかに行くの!』

「…え?そうなんだ…。いいなあ、僕も行きたい。」


詳しいことを聞いてこなかったけど、全部理解してくれたような目だった。



『アスラン?』

「もうこんなところにいたくないんだ。僕も、こんな家も街も全部捨ててユウコと一緒に行く。」

『!……うん、一緒に行こう!』


「じゃあ、準備しなきゃ。ちょっと僕の家にきて。」



子供ならではの行動力で私たちは多くを交わさずに、ケープコッドを出ることを決心を固めた。
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