ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第2章 ナイトメアのはじまり
男の舌がアスランにしていたように、私の唇を舐め回す。あまりに不快なその感触に口をギュッと噤んでいたが、ニュルリと口の中に入りしばらく口内を犯される。血の味がする。気持ち悪くて吐き気がするが、この舌はアスランにも触れたものだと言い聞かせ耐え続ける。
視界の端に僅かに見える、口元に血のつくアスランは悲しみと絶望の目を向けていた。私の目にも涙が溢れる。
「う〜ん、最高だ。素晴らしい。貴様のガールフレンドは実に甘美だ。お前みたいなガキには勿体ない。キーキーうるさい女共はどうも苦手だったがね、これだけ美しいと力でねじ伏せても欲しくなる。次はその体を………ん?なんだ貴様も近くで見たいのか?仕方ないやつだな。こっちにこい。」
抵抗出来ずにされるがままになる私の1番上のボタンに男の手が触れた時、ゆらりとアスランが立ち上がった。見たことも無いような鋭い眼差しを男に向けたかと思うと右手を自分の背中へやる。そして、目をぐらりと揺らしこちらを見た。
すぐに気づいた。
アスランはこれを探してる。
枕の下に隠したこれを、
今私の左手に僅かに触れるこの銃を。
アスランが私の左手を見た。
こちらへ歩いてくる。
何も気づかず私のボタンを外し終えた男の横をアスランが通る瞬間
私は生まれて初めて銃を持ち、
そして、銃口を男に向けた。