ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第11章 放たれたネコ
《アッシュside》
スっとチャーリーの内ポケットから銃を抜き取ると、銃口を向けた。
「なんの真似だ?…銃を返せよ。」
「…あんたはやっぱり、ポリスをやるにはお人よしすぎるよ、チャーリー。…悪いな、2人ともゆっくり車から出ていってくれ。何事もないように…できれば外の連中に気付かれたくない。」
「バカな真似はよせ!!…い、いったいお前はどういうつもりなんだ、何を考えているんだ!?」
「あんたのおしゃべりな友達にわけを聞くんだな。」
「う、あのバカ喋りやがったのか…お、落ち着け。犯人はオーサーの一味だってわかっているんだ…英二もちゃんと見てる。ーーだから」
「そんな話は関係ない!!…いいか?これは俺自身の問題だ…あんたらには関係ない、俺がこの手で始末をつける!」
「…ユウコはどうするんだ!!!」
「…っ!」
俺は突然名前を出され、一瞬隙を見せてしまった。
その瞬間を見逃さなかったチャーリーは俺に掴みかかる。
「…放せ!このっ!!」
「放すもんか!」
「イベ!引きずり出せ!」
その時、エイジが走り出したかと思うと運転席に乗り込んだ。
「…英ちゃん!?」
次の瞬間、エイジがアクセルを強く踏み込んだ。
ブロォォオ
窓から俺を掴んでいたイベとチャーリーは、驚きながらも放さない。
「…ごめん、伊部さん!!」
ハンドルを角度をつけてきると、2人は飛ばされゴミ捨て場に突っ込んでいった。
エイジ、どういうつもりだ?
「あ~あ…伊部さん怒ってるだろうなあ」
どんな顔をしているかと思えば、間抜けな声が聞こえてきた。
もうこれ以上お前を巻き込めない。
「車を止めろよ。」
「え?」
「いいから、そこへ停めろよ。」
エイジは言った通りすぐに路肩に停めた。
「…お前はここで降りろ。」
「いやだ…キミの言いたいことはわかる。でもこれは僕自身の問題でもあるんだ。…キミの兄さんは僕の目の前で殺されたんだ…僕がマヌケであとなんかつけられたから…」
「日本人ってのはマゾなんじゃねえのか?なんでも自分のせいにしたがるんだな。……わかったよ、好きにしろよ。」
「ほんとかい?一緒にいていいんだね!?」
「その代わり、自分の身は自分で守れよ…足手まといはゴメンだからな。お前俺より年上なんだろ?」
「…はい」