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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第10章 檻の中のLynx


『Hello?ショーター…』

「…!…ユウコ、…泣いてんのか?」

『え…ッ…何言ってんの?』

「お前に話がある。今から出てこられるか?アパートの下にいる。」

『えっ…急だなあ…、わかった待ってて。』

「…ああ。」


びっくりした、
ちゃんと落ち着けてから電話に出たのに…
ショーターには見抜かれてしまった。

…話ってなんだろう。


私は顔を洗って、簡単に身支度を整えて部屋を出た。

外に出ると、バイクに跨りフルフェイスを被ったショーターを見つける。
私を視界に入れると右手を上げ、背中を指さす。

近付くと無言でバイクを降りて私にもう1つのフルフェイスを手早く被せた。

そして私の腕を支えて少し高い位置にあるシートに乗せてくれた。

ショーターもバイクに跨る。


「……聞こえるか?」
『え!?……なになに!?』

フルフェイスを被っているのにショーターの声がクリアに響く。

「ああ、驚かせたな。これインカム入ってるから運転しながらでも会話が出来るんだよ。」
『…あ、そうなんだ、すごいね。』

「オーサーの手下がまだウロウロしてるかもしれねえし…ちょい飛ばすぞ。ここしっかり掴まっとけよ。」
『…っう、わあ!!』

ショーターが私の腕を掴んで自分の腰に巻き付けたかと思うと、ものすごい勢いでバイクが走り出す。



「急に悪ぃな。泣いて…はなかったってことにしといてやるから。」
『…ショーターには隠し事できないね…。で、話ってなに?』
「それは落ち着いたところで話す。」


20分程バイクを走らせると、あたりに誰もいないひっそりとした小屋に辿り着いた。

「ここ、チャイナタウンのメンバーで大事な会合開いたりする時に使ってる場所なんだよ。絶対に見つからないから安心しろ。」

『…へえ、』

「間違っても手ェ出さねえからそこも安心しろよ。あいつに殺される。」

『そ、そこは心配してないってば!』

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