ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第10章 檻の中のLynx
《アッシュside》
バァン!
扉が勢いよくあき、マックスが入ってくる
「アッシュ!!やめろアッシュ!これ以上問題を起こすな!!グリフィンが…」
「!?」
グリフィンが、なんだよ…
その時目の前の男が殴りかかってくる。それを躱し、蹴り飛ばすと男は地面に転がった。
転がり痛みに悶える男の股間にフォークを突き刺した。
「…このブタヤロウ!!!」
男の悲鳴が響く。
男は仲間に担がれ部屋を出ていった。
静かになった工房
「アッシュ、大丈夫か?おい。」
「…さっきなんて言った?」
「え?」
「兄貴がどうかしたのか?」
おっさんは明らかに動揺の目をして「いや、俺は…」と言い淀む。
「おっさん!!…言えよ、おっさん!!何があったんだ!!」
「………ッ」
「なんとか言えよ!聞いてるんだぜ、おい!!」
「う…それは…」
「言えよマックス!!本当のことを!…また裏切るのか!?兄貴を見捨てたみたいに!」
「…ーーー!……アッシュ、どうか落ち着いて聞いてくれ。とても悪い知らせだ…」
「グリフィンに…何か…?」
「…彼は死んだ」
おいおっさん…
グリフが死んだって…?
「…いつ」
「昨日だ」
「…発作…で?」
「いや、そうじゃない。撃たれたんだ…ディノ・ゴルツィネの一味に。お前がヤツをかくまった場所がバレたんだ。一緒にいた医者とお前の友達の日本人の少年とその彼女は無事だったそうだよ。」
俺は何も言えなかった。
言葉を失った、なんて生優しい物じゃない。
一瞬、頭から全思考が消えたようだった。
「どこへ行くんだ?…おいアッシュ待て!」
「…ここを出る」
「何?…おい待てったら!脱走する気か!?射殺されるのがオチだ……っウッ!」
俺は思い切り膝を腹にいれた。
「俺に構うな!これ以上俺につきまとうと、今度こそ本当にぶち殺す!」
「…やり、やがったな小僧…人が下手に出てりゃつけあがりやがって…このガキ、なめんじゃねえ!」
マックスの拳が俺を吹っ飛ばす。
「うッ…!…クソジジイめ、俺はさっきあのゴリラどもに散々殴られてんだぞ…少しは手加減しやがれ!」
「何寝ぼけたこと言ってやがる…手加減するぐれえなら殴ったりするか!バカが!」
「クソジジイ!」
「クソガキ……!!」
「お〜い、マックスいるのかァ?…なにやってんだ?お前ら」