第1章 いのち短し恋せよ乙女
私は一瞬でそれらの品に心を奪われ、うっとりしてしまった。また一方でこんな物がどうして私の所に届いたのかと訝しく思った。間違って届けられたのではとか、色々と葛藤した挙句とうとう誘惑に負け、私はちょっとぐらいならと、ドレスに袖を通した。
ドレスは私の身体にフィットし、自分で言うのも何だが、とても似合っているように思った。またヒールもシンデレラのようにピッタリと私の足のサイズに合っていた。
まるで夢でも見ているのかとボッーとしてしまったが、ふと、ボーイから龍之介からの手紙も渡されていたことを思い出した。ドレス姿のまま、とりあえず手紙を読んでみようかと思い、封を切った。手紙には、
『17時半、聖マルコの石柱前で待て』
とだけ。
行ってやるもんかと思ったけれど、色々と文句を言ってやらないと気がすまなかった私は、ドレスの上にマントを羽織り、仮面を付けるとヒールをカツカツ鳴らしながら、手紙の場所へと向かった。