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文スト夢短篇集

第1章 いのち短し恋せよ乙女


1時間程ヘア&メイクアップスタッフの金髪美女に顔を弄られた後、鏡を覗けば散々泣き腫らした私の不細工な顔は、見違えるように美しくメイクを施されていた。髪の毛も編み込みで綺麗に纏めあげてくれていた。金髪美女は私に、oh!Bellissima!とか言ってくる。
少し恥ずかしかったが落ち込んでいた気持ちが少しは上向いた。私が笑顔で金髪美女にお礼を言うと金髪美女はCiao!と投げキッスで部屋を出ていった。イタリア人というのは底抜けに明るいお国柄なのだなぁと少し苦笑いをしてしまった。

メイクを訳も分からず施され、気持ちが少し上向いたとは言え、残りの謎の大きな箱3つと龍之介からの手紙を見れば、何となくモヤモヤして複雑な気持ちだった。手紙を読むよりはまだ箱を開ける方がいいかと思い、恐る恐る1番大きな平たい箱を開けた。
中から出てきたのは、オフショルダーのシンプルな真っ白のドレスだった。スカートの部分は、柔らかな生地が重ねられふんわりとした質感で、金糸と銀糸で星が煌めくような刺繍が施されている。それは私が大好きだった童話に出てくるお姫様が着ていた月のドレスそのものだった。
次に中くらいの箱を開ける。中にはこれまた豪華でありながら、品のある目元のみを隠す、艶やかな黒のヴェネツィアンマスクと、銀糸が混ぜられているのかきらきらした光沢のある真っ白なヒールが1足入っていた。
最後に同じような中くらいの箱には頭からつま先まですっぽりと身を隠せそうな深い群青色の天鵞絨のマントがあった。マントは、前のところを金色のタッセル付きの紐で留めるようになっている。
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