第8章 盗まれたのは
ゆっくりと隼人の背中に手を回し、抱き締める。
その様子を見て上にのし掛かってたのをやめて、抱き締めたまま隣に横になる隼人。
「バカヤロウ…そうゆう行動が煽るって言ってんだよ…」
ぎゅっと胸板に愛香を優しく抱き締め腕に閉じ込める。
目の前が隼人の胸板なので顔を上げる事が出来ず、今どんな表情をしているか分からないが、隼人が話し始めた。
「はぁ…俺さ、旦那様の所にお前の事について連絡来た時、心臓止まるかと思ったわ。
FBIって危険な仕事なのは分かってるし、今まで何度か怪我してた事もあっただろ。
理解してたつもりだったんだ…だけどお前があの黒の組織に目を付けられて変な薬も飲まされたって聞いてさ、本当心配した」
隼人が私を心配してくれた…?
驚いたが、正直に嬉しい。
それと同時に自分の不甲斐なさで申し訳なくも思った。
『うん…ごめんね』
「全くだ、もっと謝罪しろ。
さて…と、しんみりオーラは好きじゃないから…。
1発ヤるか」
『はぁあああぁ!?!?』
「うるさっ…耳元で叫ぶなよ…。
お前の同僚だかお兄様だかの男に頼まれてんだよ、薬の副作用だとか効力ちゃんと切れてるのかだとかな」
『だ、だからって…!!』
「別に最後まではやらねぇよ。
具合確かめるだけでいいからな、我慢しろよ」
『うぐぐぐぅっ…』
「…いや、我慢しろよって言ったけどよ、そんなにガッチリガードされてたら服さえ脱がせられねぇんだけど…。
はぁ…仕方ねぇなぁ」
『んぅっ…!』
私に力を抜かせる為か、キスをしてきた隼人。
歯列を舌でなぞり少し開いた隙間から舌を捩じ込む。
そうして見事舌を絡め取られ、何度も向きを変えながら彼の舌テクによって力を抜かせられる。
数分に及ぶ濃厚なキスでふにゃふにゃになった私。
気が付けばキスに夢中になっている間に器用な手で服を全て脱がされ、いつの間にか裸の下半身とベッドの間に濡れ防止でかバスタオルも引かれているではないか。
用意周到である、本当に。