第7章 さよならは突然に
部屋に着き、先程使用人が運んできたであろう自分の手荷物の中身を確認して携帯を探す。
だが、何処を探しても見つけ出す事が出来なかった。
『どうして…。
早乙女、私の手荷物はチェックしたのよね』
「はい。
良からぬものがないかチェック済みです」
『なら私の携帯を見なかった?』
「携帯…。
そう言えば愛香様の携帯は手荷物にはありませんでしたね。
あぁ、ですが一通手紙をお預かりしてます」
『早く渡しなさいよっ!』
今思い出したかのように胸ポケットから一通の便箋を取り出し、私に手渡す。
絶対私から言わなかったら渡すつもりがなかった!そう思うとイラッとするが、何より先ずはこの手紙の確認だ。
そう思い自身の机に向かい、ペーパーナイフで便箋を開ける。
そしてそこに書いてある内容に目を滑らせる。
そこにはこう書かれていた。
「体調はどうですか?
僕の大切な妹に何もないと良いのですが…。
それはさて置き、貴方の携帯は預からせていただきました。
彼に連絡を取られるのは些か危険行為ですので。
まぁ、こちらとしても貴方と連絡取れないのは不便なので、新しい端末を用意したので、早乙女君から貰って下さい。
奴等の事に関してはこちらでどうにかします。
早めにこちらに戻れるようにするので、今は静養した下さいね。
ps.あの薬の事ですが、調べた所どうやら避妊作用もあるようです。
後遺症などは分かりませんので、何かあったら連絡下さい。
親愛なる貴方のお兄様より」
と書いてあった。
ツッコミたい所が多々あるが我慢する事にする。
どうやら私の携帯は赤井秀一に保管されてしまっているらしい。
薬の事についても一安心だ。
避妊作用があるなら、彼等に中出しされても恐らく妊娠はしないだろう。
ただやはり試作段階の薬なので、一応次の月経が来るまで気をつけて体調管理をしなければ。