第7章 さよならは突然に
プライベートジェット機が目的地に到着し、無事に陸地に降り立つ。
準備も終わり迎えに来た早乙女に手を引かれ、開け放たれたドアに向かう。
ドアを越えて外に出ると日本とは違う空気が髪を撫でた。
そう、ここは私が育ったアメリカ合衆国。
数週間前まで過ごしていたのに、何故だか懐かしく感じた。
ふと降り口の階段下を見ると、黒塗りの高級車が停まっており、そこに数人の人間が立ってこちらを見ていた。
その中には私の両親もいた。
「愛香様」
早乙女に名前を呼ばれ再度手を引かれながら階段をゆっくりと降りていく。
下まで降りた所で、ガバっと抱き締められた。
しかも両親2人に。
「愛香っーーー!!!心配したぞっ、父さんはっっ、父さんはっっっ」
「愛香ちゃんっ!ママも心配したのよっーーー!!」
『お、お父さんもお母さんもお久しぶりです…。
あ、あの、痛いのでっ…一旦離れ…っ』
プロレスか、そう思う程に抱き締め…と言うより締め付けられました。
すぐ離れてくれたのでなんとか気を失わずに済んだけど。
涙を流しながら抱き締められたので、服が少し濡れた…。
それに気付いた早乙女がすかさずハンカチを渡してくれた。
気がきく…腹立つ←
「ごめんなさいね、逢えたのが嬉しくてつい力んでしまったわ…」
「ぅっ…ううっ、ぐっ…」
「貴方、いい加減泣き止んで下さいな。
ほら、これをお使いになって」
「す、すまないっ…。
お前は本当に優しくて良い妻だなっ…私は幸せ者だっ」
「あら、貴方ったら…私も貴方の妻で幸せよ」
この夫婦、仲が良いのだ、本当に。
ピンクオーラ出まくりで、小さい時から目のやり場に困るほどラブラブだ。
とりあえずこの空気を断ち切る…!←何処ぞのテニス漫画の登場人物みたい
1つ席をゴホンとすると、居たのを忘れていたかのようにごめんなさいと謝られた。