第7章 さよならは突然に
安室透side
沖矢愛香ーーーーー
彼女とあの夜会った後、自分が提案した事を問題なく行えるよう色々な準備やら手続きやらで忙しく動き回り、結局自宅に着いたのは深夜2時過ぎであった。
こまめに携帯はチェックしているが、まだ彼女からの連絡は来ない。
いや、あの身体だ、今頃は睡眠をとっているに違いないだろう。
そう分かっているのに、携帯を気にしている自分がいる。
俺も疲れているな、そう思いベットに入り少しの時間だが睡眠を取ることにした。
あの時、ベルモットに呼ばれてあの場所へ行って彼女を見てすぐに愛香だと気が付いた。
何故ここに!と思う気持ちとなんとしても助けなければ、と言う気持ちしかなかった。
その為バーボンになりきりつつも、ああゆう行動を取るしかなかったのだが…。
彼女を抱いている時、こんな場面なのに興奮してしまっている自分がいた。
どんな状況下であっても好意を寄せている女性を抱いたのだ、男として仕方ないのだが、それでもそんな自分に少し嫌悪感が募る。
薬の事についても試作段階なので、心配である。
「はぁ…」
誰もいない早朝のポアロに溜息が1つ響く。
睡眠は数時間取れたので頭はスッキリしたが、何処か心は曇ったままだ。
彼女が心配だが、今日は元々彼女は休みのシフトだし、家に出向いても良いが、沖矢昴がいるであろう。
警戒している存在の所は易々と行くわけにもいかないし、ましてや今は仕事中だ。
考えていても仕方がない。
彼女には今日1日の期限を与えているのだ、気にしなくても彼女から連絡は来るだろう。
そう思い、鳴らない携帯をポケットにしまい開店準備を始めるのであった。