第6章 波乱が渦巻く仕事
そう言って彼が頭を下げた。
その様子に慌てて頭を上げてもらう。
『私の注意のなさが原因です、本当にすいません…。
私はある種の情報を売ったりしています。
仕事で来た、と言うのはこの事でした…。
何度も取引をしていた相手だったので、油断していたら…まさか有名な黒の組織の人達に目を付けられてしまうとは…』
嘘を交えた本当の事を言う。
彼の前では嘘ばかりだな…なんて心の中で苦笑する。
目の前の彼は少し下を向き溜息をつく。
「貴方が目を付けられたこの組織は、とても危険な所です。
分かっていると思いますが…裏切りなどにはとても敏感で、すぐ始末されてしまいます。
出来れば貴方には関わって欲しくないんです…。
が、既に目を付けられてしまいました。
そこで提案…なんですが、僕の助手…安室透の探偵としての助手になりませんか?
奴らに対しての表向きは、僕のオモチャ…になってしまいますが、奴らに渡すよりは安全を保障出来ます。
このまま、何もアクションを起こさないでいると、今度は本格的に監禁でもされて情報収集だけをやらされる人形になってしまうでしょうから…。
どうでしょう、悪い話ではないですが」
彼の提案を聞いて正直言うと驚いた。
まだ薬が抜けていない為、ぼんやりとしか考えられない頭で考える。
何故彼が私を助けるような事を…。
監視か…?
確かに沖矢昴の情報を探るにはまたと無い機会だろう。
ここは受けるべきか…。
確かに自分は今危ない状況だ。
だが、即答は出来ないのだ。
彼にーーー
赤井秀一に相談しないことにはーーーー
「ふっ…困らせてしまいましたね。
そんなに難しい顔をしないで下さい。
そうですね…明日1日考えて下さい。
猶予ありませんが、明日お返事をくれれば大丈夫でしょう」
どうやら難しい顔で考えていたらしい。
ぼーっとしているので、そんな難しい事は考えてなかったが、考える時間をくれるのは有難い。
薬が抜けた頭で明日1日キチンと考えよう、そう思い彼の好意を承諾する。