第6章 波乱が渦巻く仕事
『んんんっ…!!ふぁっ…ぁっ…』
ゴクンと飲み込んでしまったソレを吐き出す暇もなく、次から次へ深いキスの嵐。
この間も思ったが、彼とのキスは気持ちがいい。
だが今回、安室透ではなくバーボンであるからなのか、とても荒々しく優しさはなかった。
私が何か薬のようなモノを飲み込み、吐き出す気配がないと分かったのか、彼がリップ音と共に離れる。
2人の間につぅーと細い唾液の糸が伸びて消えた。
一体何を飲ませたのか聞こうと口を開こうとした瞬間、身体全体が心臓になったかのようなドクンっ!と大きな振動が身体を巡る。
そうなったかと思いきや、心拍数が上がり息切れを起こし、体温の上昇を感じた。
腕をクロスさせ、自分自身を抱く。
一体なにを…!!
すぐ近くにいる彼を睨みつける。
すると彼が耳元まで近付き
「安心して下さい。
即効性のある媚薬です。
まぁ、まだ試作段階のようなので持続時間は不明ですがね」
そう小さい声で囁く。
そしてそのまま耳に舌を這わせた。
『ひぁああっ!!』
耳を舐められている、それだけで身体が達してしまうかと思う程の快感が突き抜ける。
その様子を見て、バーボンがクスリと笑う気配がした。
「流石組織で開発した薬だ、効力も申し分なさそうですよ、ベルモット」
「えぇ、そうね」
ベルモットは近くにある小綺麗なソファーに座り、何処から持ってきたのかワインを片手に愛香を見ていた。
愛香自身、既に薬が回り頭がボーッとしているのでベルモットの存在を気にしている余裕はなかった。
手足を拘束されている訳でもないのに、身体が言うことを聞かない。
「さて…時間も迫ってますし、手早くやってしまいましょうか」
そう言い愛香の衣服を脱がせる訳でもなく、横に引き千切る。
今日このフード付きの中に着ていたのはブラウスだった為、引き千切られた服からボタンが散乱する音が嫌に耳に響いた。