第6章 波乱が渦巻く仕事
私の存在に気付き、それこそ彼を凝視していなければ分からない程ほんの一瞬だったが、驚きの表情で目を見開いていた。
私の正体には気が付いていない…はずだ。
「ちっ…バーボンてめぇ、何の用だ」
ジンが舌打ちをし、バーボンを睨む。
バーボンはジンの方を向き
「貴方もいらっしゃったんですね。
僕はベルモットに呼ばれたんです、ベルモットに聞いて下さい」
そう言いベルモットに向き直る。
「おいっ、ベルモット!」
「ちょっと、怒鳴らないでよ。
貴方達はもういいわ、ボスにも連れてくるだけ、って言われていたはずよ」
「ちっ…行くぞ」
「ま、待ってくだせぇ、兄貴ぃ!!」
ジンとウォッカを帰らせた…?
2人は来た道を戻り廃墟を出て行く。
どうやら私を連れてくるだけだったようだが…
私を殺すつもりはない…のだろうか。
いや、バーボンとベルモットが2人いるだけでも相当な武力だろう、殺そうと思えばやられてしまうだろうが…。
「ふぅ…やっと五月蝿いのが行ったわね。
ごめんなさいね、怖がらせたでしょう」
『い、いえ…』
「ベルモット…僕を呼んだ用事は彼女の事ですか?」
「えぇ。
彼女を組織に勧誘しているんだけど、どうにも気がすすまないみたいでね。
バーボン、貴方に彼女を任せようと思って」
「僕に…?」
「彼女をここで犯しなさい」
『…!?!?』
「そうゆう事…ですか。
僕に拒否権は?」
「ある訳ないでしょう。
貴方がこの子を犯すか、私がこの子を殺すか…どっちかよ」
「はぁ…全く。
僕はどちらでもいいんですがね…」
バーボンである彼がこちらを一瞥し、歩いてくる。
目の前で繰り広げられる会話に付いて行けない。
何がどうなって私が彼に犯されないと行けないのだ。
頭が混乱していると、暗い影が自分を覆い被さった。
「ただの彼女のお遊びです。
死ぬよりはマシでしょう?」
そう言ってキスをされ、何か固形のものが喉の奥を通り抜けて行く不快感と、舌が絡み合う快感に落ちて行くのだった。