第5章 潜入デート
屋上に着いたが、どうやらこういった人が集まる時には施錠しているらしく扉は閉まっていた。
でも、本当はダメだけど、久しぶりに学校の屋上に行きたかったので、ちょちょちょーいっと鍵を開ける。
FBIになる前からこういった事は得意だったので、数秒で大抵の扉は開く。
けど、恐らく怪盗キッドには敵わないだろうなー、なんて張り合っても居ない人物を思い浮かべながら、ドアを開く。
するとブワァッと涼しい風が全身を通り抜けていく。
フェンスに前のめりになり、下を見ると大勢の人が行き交うのが見えた。
屋上に来たかったのは、ただ久しぶり…と思った訳ではない。
この火照った身体のまま、人前には出たくなかったという理由が大きいかも知れない。
まさか、高校に来てまで現役の子とあんな事をするとは思いもよらない出来事だった。
ん…?高校に来た…?
あっ…!!!
透の事忘れてたっ!!!
ここには安室透の手伝いで来ていたのをすっかり快斗のせいで忘れてしまっていた。
急いで鞄を漁り、携帯を見つけ出しチェックすると
不在着信 21件
メール 14件
も来ていた。
え、怖っ…って思ったけど、きっとこれはかなり心配をかけての数字なんだと思い、すぐに折り返しする為、安室透の番号をタップする。
プルルっ…ブチっ
「愛香!?今何処に居るんですかっ!!」
ワンコールが始めてすぐに出たので、恐らく携帯を常にチェックしてたんだろう。
予想通り心配させてしまったようで。
『すいませんっ!今、屋上に』
「今度はそこを絶対に離れないで下さい、今すぐ行きます」
ブチっ…
…どうやら怒ってもいらっしゃるようです。
当たり前か…。
待ってろって言った場所に居ないし、電話出ないし、そりゃあ起こるよね。
とりあえず彼に言われた通り動かずに待っている事にしよう。
そう思い入口の近くで待機しようとしていると、階段を凄いスピードで走って上ってきているであろう音が聞こえてきた。
凄いドドドトドって聞こえてくる…。
その音が近くなったかと思った途端、バンっ!と扉が勢い良く開く音がし、安室透が現れた。
私の姿を確認し、スタスタとこちらへやって来る。