第5章 潜入デート
手が解放されていたので、にぎにぎとして、感覚を確かめる。
キツめに縛られていた為、少し赤くなっていたが、動作には問題はなかった。
そしてふと再び気付く。
あれ…私…服着てたっけ…?
答えはNO.だ。
先程の行為で全て脱がされた筈ーーーー…なのに、今自分はその脱がされた筈の服を身に纏っている。
訳がわからず首を傾げる。
「ん?あぁ、服か?
俺が脱がしたんだから、責任もって着替えさせた」
『い、いつの間に!?
私気がつかなかったよ!?』
「まぢ?俺すげぇー!
愛香がぼーーけぇーってしてる間にパパッと着替えさせたんだぜっ」
『せめてそこは、ぼーっとしてたって言ってよ…』
流石天才の俺!もうプロマジシャンになれんじゃね?
なんて後ろで騒いでる。
いや、でも、マジシャン得意だったとしても、こんな私が気付かない内に着替えさせられる…?
…なんかこれはもう考えた方が負けな気がしてきたので、気にしないことにしよう。
と、言うか普通に話してるけど、そう言えば無理矢理されたんでした←
これは怒るべき…だよね。
『とりあえず…鍵開けて』
「あり…?やっぱ怒ってるよな…。
俺、愛香の事好きで…」
ふと彼の顔を見ると捨てられた子犬みたいな顔をしていた。
なんで人間、こんな顔をした子に弱いんだ…なんてため息を1つ落として。
『そう思うなら、次からはこうゆう事なしね』
「ま、まぢで!次あんの?!
愛香ホントありがとっ」
許しちゃうなんて甘いかなー…なんで思うけど、これで丸くおさまるならいいか。
辺りを確認しつつロッカーから出ると、今まで篭っていた空気しか吸っていなかったからなのか、新鮮な空気を感じた。
とりあえず風を感じて気分転換したいなと思い、快斗と別れ屋上に向かう。
別れた時、快斗はめちゃくちゃ手をブンブン振って離れた。
それはもう犬の喜びを表す尻尾の如くブンブンしてた…。
これから彼への対応をどうしようかな、なんて思いつつ、一段一段階段を上がる。