第1章 それは突然に
『えっと…まだ時間…』
「愛香さんっ!大丈夫ですっ!
今日は大まかな流れや作業の確認だけなので、もう上がって大丈夫ですよっ!
せっかくお兄さんと久しぶりに会えたんですから、今日はゆっくりして下さい」
『梓さん…ありがとうございます!
また明日からよろしくお願いしますっ。
すいませんが、今日は失礼しますね』
「いえいえ!明日はもう1人のイケメン店員さんとなので、楽しみにしてて下さい!本当イケメンですよっ〜。
では、お疲れ様でした」
『はいっ。楽しみにしておきますねっ。
お疲れ様でした』
気を利かせてくれた梓が今日はどうやら帰してくれるようだ。
これは沖矢にとっても、都合が良いので、一連のやりとりを見守っていた。
エプロンを脱いで荷物を持った愛香が小走りにこちらに来る。
『待たせてごめんなさいっ!あれ…?君は…?』
どうやらようやく、彼、江戸川コナンの存在に気付いたようだ。
忘れ去られていたコナンは少しムスっとした顔で沖矢を見ていたが、愛香に話しかけられて持ち前の変わり身の早さを発揮し、笑顔で子供を演じる。
「初めましてっ、お姉さん!
僕は江戸川コナンって言うんだ!昴さんとはお友達なんだよっ」
『初めまして、挨拶が遅れてごめんね。
沖矢愛香です。お兄ちゃんにこんな素敵なお友達さんが居たなんて嬉しいなっ』
「コナン君はこの上にある毛利探偵のお宅にお世話になっているんですよ」
『この上にあるあの有名な毛利探偵の!?
凄いねっ、コナン君』
「う、うん…。(事件解決してるの俺だけどな…ハハハ)
ね、ねぇっ!ここでお話しするんじゃなくて場所移動するんでしょ??」
「えぇ、家に戻ろうかと思っていますよ。
コナン君もいらっしゃいますか?」
「うん!勿論っ」
『…。
それじゃあ、一緒に行きましょうかっ』
「(コナン君が家に行く理由を聞かない…
と言うことはやはり色々知っているのか)」
「(昴さんがどうして俺の家に住んでるのか聞かないのか…?
一体何者なんだ…)」
それぞれ色々考えながらも、3人は沖矢昴が住んでいる工藤邸に向うのであった。