第3章 それぞれの心中
ぐぅうぅ〜〜……
『…よしっ!』
それから数分が経ったか。
色々とぐるぐる考えていたが、腹が減ってはなんとかと言うので、とりあえず用意してくれたと言うご飯を食べに行くことにした。
後でお風呂に入るので、新しい下着を身につける事に抵抗を感じ、とりあえず下着を着ないで、ハーフパンツを履くことにした。
これでまた彼に会ったら怒られそうなので、会わない事を祈ろう←
部屋のドアの前まで来て、辺りに気配がないのかを確認し、そーーーっとドアから顔を出し、周りを確認する。
よし!いない!
恐らく彼の部屋から気配を感じるので、彼は部屋に篭り仕事をしているんだろうなと憶測を立てる。
ゆっくりと歩き出し、階段を降りる。
歩いてる途中で、なんで自分が住む家でこんな泥棒みたいな事をしなくてはいけないんだと思ったが、自分が蒔いた種なので仕方ない。
リビングに着くと、1人分の食事が用意されていた。
彼の分がないので、食べたのだろうか。
いい匂いがしていたので、なんの料理か分かっていたが…
『ビーフストロガノフ…何故に…』
そこにはビーフストロガノフがあった。
牛肉がいっぱい入っていて、ルーはとろりとしてなんとも食欲をそそるいい匂いを漂わせている。
ご丁寧にご飯の形を星型にしている辺り、変なこだわりがあるらしい。
いや、美味しそうなんだ、美味しそうなんだが!
自分の大好物を知られていて、それを作られる気分←
かなり複雑である。
ビーフストロガノフが大好物って、どこかのテニス漫画の『あーん?』の人と同じだって思った?
いや、だって美味しんだもん、許して。
さて…複雑な気分ではあるが、空腹には敵わないのでいただくとしよう。
お腹が減っていたからか、はたまた彼の料理の腕が凄く美味しくてペロリと食べてしまったのか…
答えは両方だけども。
食べ終わった食器を片付け、下着類を持ち風呂場に向かう。