第3章 それぞれの心中
『んんっーーー……』
寝返りをうとうとした時、身体の怠さから思わず目が覚める。
ぼーーっとしながらベッドから上半身だけ起きると、まるで性交渉をした後のような下半身の怠さを感じ顔を顰めた。
そこで先程の光景を思い出し、頭を抱えた。
そうだ、自分は赤井秀一…いや、沖矢昴にイかされたのだと。
『ああぁぁーーー………』
どうしてこうなった…と何回言えばいいんだ。
と、心の中でぼやく。
やはり後で直接聞くしかないのだろうか…。
あぁ、顔を合わせ辛い。
まだ2人で暮らし始めて2日目だ。
なのに、あんな…。
いや、最後までシていないからセーフか…?
でもあんな長く苦しい愛撫は初めてだった。
…それにしても…赤井秀一はテクニシャンだ。
自分はハニートラップを仕掛ける身であった為、自分のオーガニズムについてはコントロール出来ていた。
だからこそ、彼に強制的にイかされたのには驚きもありつつ、悔しさや怒りも湧いてくるのだ。
あ…ジョディにも合わせる顔がない…。
ジョディは今だに赤井秀一が好きだ。
別に嫌い合って別れた訳ではないのだから、当然と言えば当然か。
ジョディはあれで隠しているつもりだが、周りは勿論彼女の気持ちに気付いている。
恐らく赤井秀一自身もだ。
やり直せばいいのに…。
いや、何故だか分からないがもやっとした気持ちになったので、もう考える事はやめにしよう。
『えっと…』
とりあえず時間を確認したところ、夜の9時過ぎだった。
どうやらそんなには気を失っていなかったようだ。
気を失う…
私は何故ベッドに…え、ま、まさかっ…!
バッと音が鳴るくらい勢いよく上に掛かっていたモノを横に避けた。
そこで初めて自分の状況を把握した。
そこには下に何も身につけていない下半身がーーーー。
自分は赤井秀一にイかされ、気を失い、自室のベッドに運ばれ、あまつさえ汚れた下半身を清潔にされたのだと。
『ふおぉぉーーー……』
恥ずかしさのあまり、奇声を出してしまった…。