第3章 それぞれの心中
一際大きな声を上げ、彼女の中がぎゅーっと自分の指を締め付けたのを確認し、顔を上げる。
どうやら彼女は気を失ってしまったようだ。
「やりすぎたか…」
そう一人呟き、愛液に濡れた手をテッシュで拭き、彼女の手を解放し横抱きにする。
所謂、お姫様抱っこと言うやつだ。
玄関が大変な事になっているが、とりあえずそこは後で掃除する事にして…
彼女に振動があまり行かないようにゆっくりと階段を登る。
部屋に入り、ベッドの上に寝かせる。
周りを見るとまだ彼女の色に染まってはいないものの、所々に彼女らしさを感じる部屋になっていた。
再び彼女に視線を戻し、その寝顔の頬に手を滑らせる。
彼女の事は知っていた。
いや、正確に言うと
資料や当時付き合っていたジョディから散々話は聞いていたので、存在は知っていたが、顔は見た事はなかった。
武術・銃の腕前にも長け、眉目秀麗であり
訓練学校でも群を抜いていたらしい。
FBIになってからも、着実に成果を出している様だ。
ジョディから聞いた話(ある程度は聞き流してはいたが)では、気さくな性格で女性男性の両方に人気があり、密かにファンクラブもあるとかなんとか…。
まさかそんな彼女が日本に、しかも沖矢昴の妹役として会う事になるとは思わなかったがーーーー。
彼女に対して何か特別な感情があると言う訳ではない。
いやーーー
ないと言ったら嘘になるか…。
ジョディから話を聞かされ、自分の中に作り上げられた蓮見愛香と言う人間に惹かれてはいた。
ジョディと付き合っていた手前、そんな事は決して言う事は出来ないが。