第2章 初対面
『もしもし…お兄ちゃん?』
【…色々言いたいこともありますが…それはひとまず後で聞きましょう。
愛香さん、今どちらに?
今日は僕に晩御飯を振舞ってくれると言う約束でしたので、ポアロの近くまで迎えに来ているのですが】
『(後でが怖い…。とりあえず絶妙なタイミングで電話かけてくれたから、話に乗るしかないわね…)
ごめんなさいっ、忘れてました。
えと、今は…』
チラッと安室の方を見る。
彼はどうやら笑いが収まり、こちらの話に耳を傾けていたようだ。
彼女の視線に気付き、口パクで「ポアロまで送ります」と言っているようだ。
『友達の家にいて、送ってくれると言っているのでポアロまで戻るね!
10分以内には着くと思うから、もうちょっと待ってで貰ってもいい?』
【…分かりました。
気をつけて来てください】
電話が切れ、画面を閉じると隣に安室が来ていた。
既に服を整え、車のキーを片手に準備していたようだ。
「愛香さん、僕は玄関に居ますので、準備が出来たら来て下さいね。
下着はソファーの上に」
そうだった、自分はノーブラだった事を思い出し、急いでソファーまで戻る。
その様子を見て、くすりと笑い、玄関へ安室は向かった。
『(ご丁寧に畳んであるわ…)』
ソファーの上で畳んであった下着を装着し、鞄を持って安室が待つ玄関へと向かう。
家を出て、エレベーターに乗り込む。
鍵をかけないところを見ると、オートロックのようだ。
家の外や部屋の中にも至る所に隠しカメラやら何やらがあって、本当に注意深いらしい。
まぁ、いくつも顔があると大変なんだな…でも今の自分と一緒か、と考え思わず苦笑いしてしまう。
エレベーターが下に下がる中、安室が話しかけてきた。
「今日はお邪魔が入ったので、また今度休日にでもデートに誘ってもよろしいですか?」
邪魔とは言わずもがな沖矢昴の事だろう。
『勿論ですっ、安室さんのデートプラン、楽しみにしておきます』
「これはプレッシャーですね。
そのデートに誘う為に、愛香さんの連絡先をお聞きしても?」
『あ、すいませんっ…。
えっと…080○○○○☆☆☆☆です』
携帯を操作し、番号を登録する。