第10章 最強タッグ(?)
『ほ、本当に大丈夫なんでっ…』
「気にしなくていい。
昨日は楽しませてもらったからな…その礼だ」
お風呂入れさせてもらうのどこら辺がお礼なんですかね!?そうツッコミたい、いやツッコませてくれ。
嫌、嫌と唯一自由に動かされる首を今世紀最大の速さで横に振る。
「ふっ…」と笑ったような声が聞こえた気がしたが気にしてられない、今は一生懸命に首を振る事だけに集中した。
だけど首を振るのに必死で私は忘れていたのだ。
彼がとてつもなく器用な人間だと言うことを。
パサリ…
そんな音が、首を必死に振っていた私の耳に届いた。
一旦確認の為、瞑っていた目を開けて音のした方向へと目を向ける。
そこには1枚の布生地。
………………!?
理解するのに時間がかかった。
理解してから対処したのは自身の大事な部分を手で隠す事だったが、痛みが走り身体の反応が鈍っていた為、隠す前に彼に抱き留められてしまった。
しかも後ろから…うん、アレだね、バックハグってやつ。
この状況で…なんて嬉しくもなんともないけど。
つまり、私は今、全裸の状態で赤井秀一からバックハグをされている訳です、みなさん、分かりますか、コレは拷問です。
っと…混乱のあまり訳の分からない事を言ってしまったが、どうしようか、この状況。
全て見られているとは言え、恥ずかしいものは恥ずかしい。
『あの…えっとですね…離れてもらえませんか』
とりあえず牽制してみる。
「離れたら君の身体を洗えないだろう」
ごもっともで!
だがしかし!私は貴方に洗って欲しくないんです!!
『ぬ、濡れちゃいますよ??ほら、いつ誰が来るか分からないんですから早めに昴兄になっておかないと!』
「まだ早朝だ、誰も来ないだろう。
それにすぐ変装出来る準備はしてある、気にするな」
気にして下さい!そんな私を洗う事に頑固にならなくてもいいんですってば!
心の声を言える訳もなく、無言を了承と捉えたのかシャワーが流れる音が聞こえる。