第10章 最強タッグ(?)
「少し痛いだろうが、我慢してくれよ?」
『いっ…!!!』
そして唐突に身体をグイッと抱き抱えられた。
所謂、お姫様抱っこ、である。
だが起きる事もままならない状態であった為、誰かの手で起こして貰うのならば願ったり叶ったりである。
なので文句を言わずに抱かれるまま黙っていた。
赤井は極力私の身体を揺らさないように移動をしてくれているようで、抱き上げられてからと言うもの殆ど痛みを感じなかった。
『(へぇ…優しい所もあるんだ)』
そんな事を考えていた所、ピタと一旦動きが止まった。
一体何処に着いたのか…確認しようと前を向く。
着いたのはバスルームの前だった。
何故バスルーム…?お腹減ってるんだけど…?と思ったが、1つの考えに行き着く。
『(ま…まさか…)』
そのまさか、のようで片手で私を支え最も簡単にバスルームへの扉を開けたのだ。
どんな腕力してんの、とツッコミを入れたくなったが、それどころではない。
このままだと…と焦りが強くなり、どうか考えているのが外れますようにと心の中で祈った。
「降ろすぞ」
そう一言だけ言い、ゆっくりと降ろされたのはバスタブの縁。
ゆっくりと彼と目を合わせると、ニヤリとされた。
「食事の前は身体を綺麗にしないとな」
その言葉も相まって悪魔に見えたのは気のせいではないだろう。
悪い予感、と言うものはどうやら的中する為に発動するらしい。
『い、いやっ…1人で入れまっ…いったぁああ』
「ほう?俺は身体を綺麗にする…としか言っていないが…そうか。
俺に手伝って欲しかったのか」