第10章 最強タッグ(?)
玄関まで到着し、靴を履き扉に手をかける。
そして扉が開き真っ暗な夜空が見えた。
「もし次にこの家を訪れる時が来るとしたら」
横目で沖矢を睨みつけ言葉を続ける。
「その時はお前の正体を暴いてやる時だ」
そして静かに扉が閉まった。
静かな空間に男が1人。
暫く玄関を見ていたが、漸く動き出し玄関を去る。
ゆっくりと音を立てずに階段を登っていく。
そして階段の中腹あたりでピタリと歩みを止めた。
「やれやれ、そろそろ本格的に動かなければならないようだな」
それはいつもの沖矢昴の口調でも声音でもなかった。
言葉だけ聞くと困ったような、そんな言葉だったが
彼の表情は何かを楽しみにしているような、そんな表情をしていたのだった。
愛香 side
『んんーーーーーーーっ……』
ふと喉が渇いた、そんな衝動に駆られ意識が浮上する。
薄らと目を開けてみる。
部屋が薄明るい、と言う事は早朝かぁ、なんてぼんやり考えた。
とりあえず飲み物…そう思い目を擦り身体を起こそうとした。
文字通り【起こそうとした】のだ。
その瞬間、とてつもない鈍痛が身体の端々を駆け巡った。
『いっ……たぁあぁあっ…!!!!』
自分でも少し驚く様な声量だった。
それ程痛かったのだ、こればっかりは仕方ない。
その声を聞いたのか、扉をノックする音が聞こえる。
恐らくあの男だろう、そう思いどうぞと声をかける。
「起きて早々騒がしい奴だな」
入ってきたのは思っていたのとは風貌が違うがあの男で間違いなかった。
沖矢昴の仮面を外した、赤井秀一だった。
なんか久しぶりにその顔見るなぁ…なんて横目でチラリと見るが、すぐに身体の痛みで顔を顰める。
そんな様子を見て赤井は彼女に近付いた。