第8章 盗まれたのは
ズンっ…!!!
『ひゃああぁ!?』
ギリギリまで抜かれたモノを突然奥の奥まで捻じ込まれた。
「私との行為の最中に考え事なんて…余裕ですね。
他の男性の事ですか?」
『ちがっ…!!』
どうやら頭の片隅で考え事をしていたのがバレてしまったらしい。
だけど、誤解だ、考えていたのは快斗、貴方の事なのに。
嫉妬しているのか、はたまた私の考えている事が分かっているのか分からないが、口元を歪ませた彼の顔が目に入る。
だけどモノクル越しに見る彼の瞳からは何も読み取る事は出来なかった。
否、読み取らせてくれはしなかったが正しいか。
『あぁあっ!ま、まっ…て!』
考える暇など与えさせない、そう彼が言っているかのように激しい律動。
散々彼の手によってイかされ続けた身体には力など入らず、静止の言葉も最早意味などなかった。
「くっ…中はぐちゃぐちゃでトロトロなのに…ぎゅうぎゅうと離さないように締め付けてくるなんて…」
『あっ…あぁっ…』
「そんなに好きなんですか…?
私の…いや、この場合は男なら誰でも良いんですかねっ…?」
『ひやぁあああっ!!』
やはり嫉妬しているのだろうか、先程より強く腰を奥の奥まで打ち付けてくる。
違う、違うんだよ、快斗のだから快斗のだから気持ちいいんだよ、そう伝えたいのに出るのは嬌声ばかり。
伝えたい言葉が届かない。
そればかりか彼は私が違う人を思いながら抱かれていると思っているのだ。
どうすれば伝わるのか。
残り力を振り絞り、彼の首の後ろに手を回し力を入れて彼の身体を引き寄せ自分からキスをする。
他の男じゃない、快斗だから気持ちいいんだよ、そう気持ちが伝わるように。
キスに驚いたのか、それまで激しかった律動が止まる。
目を開け、唇を離すと、そこにはモノクル越しに目を見開いた彼がいた。