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沖矢昴はお兄ちゃん【名探偵コナンR18】

第8章 盗まれたのは





「だから言ったろ?本物だって…いてて」



横に引っ張ってすぐに手を離したが、思いっきりやったので結構痛かったようだ…ほっぺが赤くなっている。
と言うか、それよりも…怪盗キッドが本当に黒羽快斗だった事に驚いて言葉が出ない。



「おー、口がパクパクしてて金魚みてぇー可愛いーww」



『ちょっ、からかわないでっ』



こうやって戯れていれるのも、相手が快斗君だからだ。
理由とか色々気になるが、これは聞いちゃいけない事だ。
だから聞かない、気にしない、それが一番。



「さぁーて、俺の正体もバレちゃった訳だし…。
帰るか、日本に」




『へっ…?』




思わず顔がポカンとしてしまった。
彼はその顔を見てケラケラと笑っていた。




「何変な顔してんだよっww
愛香も言ったろ?日本へ連れて行ってくれないかって」




『いや、確かに言った…言ったけど』



「無理だって?」



『…っ』



帰りたいのは確かなのだ。
だが、怪盗キッドを悪者にして、家族に友人に何も言わずに行くことなんて出来ない。
ましてや私は皆んなに心配をかけてしまっているのだ。
私の我儘ばかりに皆んなを巻き込んでしまっては行けない。



「日本は危険でいきなり実家に帰ったにもかかわらず、何も言わずに日本へ戻るのは気が引ける…しかも怪盗キッドの手によって…ってか?」




『な、なんでっ…』



「ある程度愛香の情報は調べさせてもらった。
データは少なかったけどなー。
まぁ、なんか秘密があるっぽいし詳しくは聞かない。
けど、別に愛香がしたいようにしてもいいんじゃね?
結局物事はなるようにしかならないんだからよー。
独り塞ぎ込んでても意味なんかねぇよ。
親の所には後で連絡すればいいだろ。
やらないで後悔よりやって後悔なw」




『ぷっ…なにそれ、結局後悔するのね。
…でもありがとう…。
快斗…いえ、怪盗キッド、私を連れ去って下さいますか?』



彼は帽子を被り直しモノクルを付け、フッと笑った。



「勿論です、貴方が望むままに」



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